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【黄昏ゲームヒストリー】
 第5回 Nintendo PlayStation

Nintendo PlayStationとは

 任天堂とソニーにより、かつて開発されていたスーパーファミコンに接続するCD-ROMドライブの周辺機器、それが「Nintendo PlayStation」だ。
今にして考えれば、夢のタッグ。
それが、かつて現実に実現しようとしていた。

 開発は、スーパーファミコン発売前夜から始まっており、任天堂とソニーで合意文書も締結。CD-ROMドライブは任天堂から発売、本体一体型をソニーが発売される予定だった。コードネームは「PlayStation」
しかし、CD-ROMソフトの利益をソニーが有することを懸念した任天堂側が翻意。
任天堂は、オランダ・フィリップス社との共同開発を発表した。
ソニーが発売することを許可はするが、任天堂は任天堂で独自にやる、と。
ソニー側は、CD-ROM機を出すことを断念。
頓挫しかけたプロジェクトだったが、久夛良木氏の熱意によりソニー独自のゲーム機を出すことを決める。
それが、初代PlayStationとなるのだった。

ユーザーの反応は

 では、当時のゲームユーザーは、これをどう捉えていたのだろうか。
さぞかし、大盛り上がりで決裂時には大荒れ…と若い方は思うかもしれないが、そうでもなかった。
当時はネットもない時代。情報は、テレビ、ラジオ、雑誌がメイン。ゲームの情報となると、さらに狭まり、ほんのわずかなゲーム番組とゲーム雑誌ぐらいのもの。
私自身が、Nintendo PlayStationを知ったのも、ファミマガのディスくんのマンガだったし、それがPlayStationという名前だったことも知らなかった。
そんな時代背景だったので、当時存在自体知らない人も多かったのではないだろうか。

 また、1988年にはPCエンジンの周辺機器・CD-ROM2が既に発売されており、Nintendo PlayStationもそんな感じかな…ぐらいの印象しかなかった。
ファミコンで発売されたディスクシステムに苦い記憶があったことも、盛り上がっていなかった一因かもしれないなぁ。どうせ、これもディスクシステムみたいになるんでしょっていう。
スーパーファミコンのソフトで盛り上がっている最中だったし、その次って言われてもピンと来なかったっていうのもある。

これは本当に夢だったのか

 このハードが実現したら、ゲーム業界はもっといい方向に進んでいたのだろうか。
私は、そうは思わない。
どの業界でもそうだけど、1強がいい方向に転がることはない。
ライバルがいるからこそ、相手よりもいいものを生み出そうと努力し、お互いに向上していくものだ。
任天堂が天下を取り続けていれば、DSやWiiのような革新的なハードも生まれなかった可能性だってある。
Nintendo PlayStationは、夢を実現できなかったハードではなく、ゲーム業界がさらなる発展をしていくための運命の分岐点だったのかもしれない。

2021/12/26

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